新潟新発田編

2010年9月13日月曜日 12:00

  いざ、上越線新幹線"Maxとき"二階車両の窓際席へ乗りと込んだ。新潟県新発田駅近くの「八坂亭」で、講演会の用意ができているからだ。企画の御膳立ては菊水酒造、日本酒文化研究所の肥田野女史という。



ちょっとウキウキしながら車窓へと目をやれば、パーッと旅心が解き放たれた感じがする。

「缶ビール開けて視界が旅となる」(町彦)

俳句仲間のタイムリーな名句が浮かぶ。それで、やっぱりプシューっと缶ビールを開けた。流れる景色のつれづれに、新潟を詠んだ句が思い出されては消える。

 長短のトンネルを抜け、右手に望む八海山の峰々が後方へと移ろえば、やがて日本海へと拡がる新潟平野だ。棚引いている雨雲の隙間から日の光が差す。今にも虹の現れそうな天と地平がつづく。

「ふるさとは夕虹の先越後酒」(類)

と、菊水の辛口を想像して唾を飲む。

 新潟駅で、中山美泉さんの車にピックアップしてもらって新発田へ到着。会場となる店は閑静な通り沿いに在り、二階の座敷では、早々と二十人ほどのファンの方々が入室していただろうか。控えの間で始まりを待った後、まさに膝突き合わせてのトーク・ライブは菊水酒造、高澤大介社長の挨拶から始まった。気さくな人柄は何人も緊張させることは無い。


それにしても、集まっていただいたメンバーは遠方からが多く、大阪、和歌山、関東圏に及ぶ。中には、タイのバンコクから帰国した航空会社の駐在員までいた。
「類さんのファンて、コアですねえ」。の言葉を思い出したり、妙に気恥ずかしかったりする。トークショウはそのまま酒宴へとスライドしていき、ほろ酔う者、駄々っ子になる女子など、菊水の酒力が魂をゆるく開放してくれる。江戸、明治期に使われた特製酒器の珍品も登場。宴はフルパワーに過ぎ、頂点へ達したところで肥田野さんの仕切りが円く結んだ。



この後、僕は用意していただいた月岡温泉のホテル・清風苑へ・・。チェックインした途端に、何故か一階のカラオケ大ホールの中。地元でクリニックを営む美泉夫婦や、たまたま居合わせた泊りのお客さんたちと歌声交流となった。

 翌朝は、清風苑の大浴場を独り占め、犬掻き泳ぎしてから、露天風呂へ浸かって一句。セミの句をしたためた。「あ~あ、極楽じゃなあ・・」これをツイッタ―風に言い換えれば、「極楽じゃなう~」となる。実は、新潟への旅の途中、ツイッタ―での呟きを配信していた。そして、チェックアウト。迎えの車に乗り込もうとすると、清風苑のスタッフがずらりと並んでお見送り。またまた気恥ずかし思いを残したまま、月岡温泉郷を後にした。
「類さん、御大臣みたいですね」。同乗者の女性が、つぶやいた。

帰りの新幹線の中、新潟でのツイッタ―仕上げに呟こうかと、携帯の画面を開いて驚いた。なんと「またのお越しをスタッフ一同、お待ちして・・・」との書き込みがあるじゃあないか。てことは、大露天風呂での犬掻き泳ぎもツイートしてしまったからバレてる~。
 いやはや、穴があったら入りたい。そう、呟こうとしたら、いきなりトンネルの中へ滑り込んだ。

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