ちょっと面白いリキュールが届きました!

2009年3月30日月曜日 17:02

 東京の西郊外、JR中央線国立駅そばの高架沿いに、鰻の専門店「うなちゃん」がある。国立駅前の屋台時代を経、昭和三十九年に現在の地で開業した店だ。半年ぶりに訪れてみると、店の周辺は更地。ぽつんと鰻の煙に燻された二階家が所在無く佇むばかり。いよいよ移転かと思いつつ、開店30分前の午後4時半に暖簾を潜った。なんと空き席は、カウンター角の一席のみ。運良く腰を落ち着けることが出来た。すると、焼き台の前で炭火の加減を見ていた三代目店主が、開口一番。

 「おかげさまで、店はこのまま残ります。五メートルくらい後ろにさがりますけど・・。先週、決まったんですよ」という。国立市が昭和酒場建築の保存の意向を固めてくれたなんて、嬉しいよね。風情のあった三角屋根の駅舎が消え、新しい駅ビルの完成も近い。せめて「うなちゃん」だけはと、思う向きも多かったに違いない。店の写真は、常連さんの一人から、提供していただいた。建物をスライドさせる特殊工法が終える予定は、五月のゴールデンウィーク明け。また、昔のままの鰻屋に煙がたなびく。


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 ところで、小樽の「がつや」の件ですが、『あれはラム肉じゃあなくて、豚ですョ~、ぎゃ~!とるず・・』というメールがブログを見た小樽美人から届いていました。北海道に居る時はジンギスカン(ステーキ)ばかりを食す習慣があり、子豚みたいに柔らかい肉のイメージというところを、うっかりラム肉と書いてしまいました。〝トンマ″な話です。スンマセ~ン。

 

 ちょっと面白いリキュールが、大分県の八鹿酒造から届きました。大分県特産の「かぼす」、「本ゆず」、「鶯宿梅」、大分麦焼酎仕込みの「珈琲」の四種類。イタリア語で、和らいでいく、を意味する演奏記号〝カランド″と名付けられたシリーズです。ターゲットが若い女性ということなので、神保町のバー「人魚の嘆き」へ持ち込み、手伝いの女子大生やらに味見してもらった。ラベルのデザインも女性向の所為か、カワイイと好評。甘い香りと、さっぱり味が、かぼす、ゆず、梅の順にお気に入りとみえ、何杯でもOKなんてコメントまであった。珈琲、梅風味は、少し年上の女性に合うようです。珈琲リキュールを牛乳で割った女性もいましたが、風味が飛んで失敗だったとか・・。このカランド・シリーズをベースで、自分好みのカクテルにトライ。いや、やはりストレートがいいのかな。


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北海道・ほろ酔いツアーも無事終了!

2009年3月11日水曜日 23:13

 プライベート・ビデオ撮影を兼ねての北海道・ほろ酔いツアーも、小樽の「がつや・しまざき」で打ち上げの運びとなった。ツアー最後の店ながら、異常な盛り上がり。古びた縄暖簾と引き戸という庶民的な居酒屋の店構えにしては、ちょいとゴージャスな内容です。海の荒れで蟹の入荷が無かったものの、大振り本マグロ刺、ラム肉焼きのぶ厚さ、はち切れんばかりのカズノコを孕んだ一夜干しニシンには驚かされた。

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「小樽の客は、特別に舌が肥えているからね」と、店主の誇らしげなお言葉だった。ロック歌手の矢沢永吉さんや、高貴な御一行がお忍びで訪れるのも無理からぬ一軒なのです。ただ、盛り沢山のことゆえ詳しいご報告は、後日とさせていただきます。再会を誓い合った常連さんたちとの、後ろ髪引く別れもあわただしく、羽田行きの最終フライト便を目指した。

東京へ戻った翌日。早々に、幕張メッセでのフード・フェスティヴァルへお邪魔した。相変わらずの幕張イベントホールの広さと人出には圧倒される。会場に着くなり、菊水酒造のブースへ直行。試飲用の新酒が並ぶコーナーで、気付け薬代わりに猪口カップ三杯ほど頂戴。気分がすっきりしたところで、予定のミニ・トーク・ライブに菊水ブースの時間をさいていただいた。人の流れる展示会場でのトークは初めての経験。「話、難しかったでしょう」なんて、ねぎらいの言葉もかけてもらいましたが、どうして、どうして貴重な経験でした。

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数日後、渋谷東急カルチャー・センターでの講演と続き、こちらはエッセイの朗読から初めた。いつになくまじめムードだったが、博水社のサワーや東急目黒線西小山駅近くにある居酒屋「まいどや」の御店主からマグロ刺が差し入れされるなど、やっぱり酒宴ムードも加わった。ちょうどこの時期、4月発売の「東京・立ち飲み案内」(総合メディア研究所)の原稿に追われていたこともあって、珍しく飲み会を自粛する事しばしば。飲んでばかりじゃあないのです。小平カメラマンとのコンビで72店舗の紹介をエッセイ風に書き下ろしました。まあ、〝立ち飲み72夜物語″といったところでしょうか。

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通しナンバー43330

2009年3月6日金曜日 22:27

 北海道は、去年の早春に、余市のニッカ工場へ取材でお邪魔して以来です。浅草のオーセンティック・バー「バーリィ浅草」の木村マスター一行と合流しての旅。飛行機は左手に蝦夷富士と呼ばれる白銀の羊蹄山を望んで、苫小牧の方向から、アイヌ・モシリの千歳空港へ。さすが大平原、障害物がない所為かランディングも実にソフトだ。

 まず、「バーリィ浅草」初代・名バーテンダー佐野繁雄さんの故郷、美唄へ寄って13回忌の法要に参加させて頂いた。我がイタリアン・ブーツはスケート靴を履いたようにツルーっ。札幌へ戻って、ホテルにチェックインするも、早々と札幌を代表する大衆酒場へ。旨い濁り酒を、駆けつけ3杯ほど啜ったものの、時間的なゆとりが無く、本命の「バーやまざき」へ直行した。

 マスター・山﨑達郎さんは、バーテンダーやバー・フリークにとって、神様のような存在だ。おん歳八十八の米寿。店の開業が1958年だから、半世紀を越えた。かろやかなシェイクをスロー・スローと最後に二度振って収める。マスター、ご自慢のサイドカーを、おごそかに頂く。キューンと冷えてはいても、なぜか北の大地のふくよかな温もりが口中を満たす。なんとも老練な味。アルコールは嗜間ないタイプ。背筋の伸びたスマートな立ち居振る舞いは、現役、白寿の証明です。
sakeo_030601.jpg 「若いバーテンダーは、技術に走って欲しくないですね」。とのお言葉。カウンターを挟んでの心の対話こそが大切、と付け加えられた。そして、お得意の切り絵による似顔絵を作って下さった。「戦後、アメリカの兵隊さんに作って差し上げたら、喜ばれましてね」。いったい僕で、何人目だろうかと、通しナンバーを見れば、43330番。この数には、恐れ入りました。


 続いて、山崎さんの弟子・中田輝子マスターのバー「ドゥ・エルミタァヂュ」へ。〝じゃばら″という名の柑橘系カクテルを頂く。名バーテンダーの、〝懐の深い包容力″は、きっちりと弟子に受け継がれていました。
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仕上げは、狸小路の塩ホルモン発祥の店「炭や」。
だったような気もするが、もっとハシゴしたかも。


えっ、切り絵は、似ているかって......。そんな事、問題じゃあ有りません。
さて、明日は余市へ。


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