岩手を旅する1〜盛岡の夜は更けて......

2010年3月11日木曜日 13:00

 東京から日本列島を陸路で北上すると、タイムマシーンに乗って過去へ旅するような光景が展開する。新幹線の車窓をスクリーンに見立てるなら、関東で満開の桜が次々と五分咲き、つぼみ、そして雪深い冬木立の風景へと移り変わる。もっとも、逆に南下すれば二時間少々で冬から春へと季節を早送りしてしまえる。こんな経験が出来るのも、南北に伸びた列島ならではのことです。とりわけ季節の変わり目にはっきりとした風景の違いが楽しめます。


 今回も東京と盛岡の間、東北新幹線の窓にへばり付いていました。ホームへ降り立って、初めて流れ去った車窓風景が現実だったことを気温差とともに気付かされた次第です。そして、僕の到着を心待ちにしてくださった工藤祐二さんの案内で岩手県の採り立て食材が自慢の居酒屋「壱寸(いっすん)」へ伺った。もちろん初めての店で、工藤さんについても大事な事実を忘れていた。というのも工藤さんとは、東京の恵比寿にあるスペイン・バルで一昨年お会いし、乾杯の盃を交わした仲だった。そして去年、差し出し人の名前が無く製造会社名しか記されていない盛岡冷麺が届いた。美味しく頂いたので会社にお礼の電話を入れるも、留守電用の応答メッセージ。むなしく伝言を残す他なかった。


 その送り主が、満面の笑みを湛えた目の前の若き企業人・コラゾンカンパニーの工藤社長その人だった。岩手県の食材を全国にアピールするため、生産工程から飲食店の経営まで手がけている。店内のテーブルには社長のお母様とご友人といった方々が飲む気たっぷりの様子で待ち構えておられた。「あっちゃー!カンパーイ」。いきなり生ビールの乾杯が挨拶代わりだ。大皿に盛られた宮古産の海藻類のシャブシャブを、餓えたオオカミのごとくムシャムシャとやりました。そうとう野菜不足だったんです。一息ついたところで家族同様のお付合い。後から、やはり愛くるしい笑顔の社長夫人が挨拶に来ていただいた。お母様も宮古産の三陸わかめのシャブシャブが大好物らしい。当たり前のごとく健康なスポーツ系女性でした。そこへ、見ず知らずの盛岡美女が入店。ちゃっかり僕の膝に腰掛けて記念撮影をして別室へ消えた。携帯のシャッターを押した社長でさえ、「えっ、誰だっけ」。一同、一瞬、狐につままれた感じ。なんだか盛岡の夜は、急に春めいてきた。


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 二軒目はモツ肉がメインの「盛岡酒場ニッカツ」へ。工藤社長のお兄様も合流し、ホッピーのキンミヤ焼酎割りなど飲んだ覚えもあるが、純米吟醸酒・南部美人の味が印象深い。と、思ったら「彼が南部美人の五代目蔵元・久慈浩介です」。あれあれ、酒造会社の専務まで登場しちゃいました。差し入れの糖類無添加梅酒(南部美人の特許技術)が振舞われました。

こりゃあ少々出来すぎた話ではあります。スイマセン。


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 そんな訳で、明日は二戸(にのへ)にある南部美人の酒蔵へお邪魔することに・・。