『舟』菊水句会

2009年4月21日火曜日 19:01

 三日間続いた大阪ロケの翌日18日は、新潟県新発田の菊水酒造・菊水日本酒文化研究所にての俳句吟行「第一回・『舟』菊水句会」へ向け、上越新幹線・MAXとき号の車中にいた。車窓には、菜の花のまばゆい黄色と緑が用水に沿って見える。そこで、「菜の花や日向の色の流れたる」と、句会へ向けての軽いウォーミングアップに一句。やがて、新発田駅で句会のメンバーや地元参加者と合流。タクシーに分乗し、春うららの田園風景を抜けて菊水日本酒文化研究所へ到着した。


研究所の木立越しに見える飯豊連峰の雪渓は思いのほか少なく、周辺の桜も大部分散っていた。それでも春萌えの中、句会参加メンバーは酒蔵見学と秘蔵の古酒にほろ酔うての句作を楽しめた。


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ところで、『忠臣蔵』に登場し、高田馬場を仇討ちで突っ走った堀部安兵衛は新発田の生まれらしい。伊勢幸祐くんが「風光り安兵衛奔らす越の酒」と、なかなか面白い挨拶句を詠んだ。切れ味の良い越後の酒と、瓢箪徳利も提げていただろう安兵衛のスピード感が表現されている。


しかし、句会の圧巻は菊水日本酒文化研究所プロデュースの花見料理だ。江戸期の『料理早工風』よりレシピを辿って再現した提重詰(さげじゅうづめ:四段重ね重箱に詰めた行楽弁当)には、参加者全員が感嘆の声を上げた。お菓子用の重箱には、万葉人も食したという〝椿餅″まである。使用させてもらった酒器も、やはり骨董の珍品を再現するこだわりよう......。


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赤い毛氈の上、蔵人と共々に時の流れを超えた宴は、風流この上ないものだった。


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